天才能面師・長澤氏春とは?
能面師として初めて無形文化財選定保存技術者(人間国宝)の指定を受けた長澤氏春さんとはいったいどんな方だったのでしょうか。
古彩色の第一人者であり、その能面の美しさは永遠ともいわれています。
今回はそんな長澤氏春さんについて調べてみました。
能面って?
まずは前提として、能面についてみてみましょう。
能面とは、能楽や神楽等で使う仮面です。
大きく分けて5種類に分類され、翁・尉・鬼神・男・女です。
特に翁の面は特徴的であり、他4種類とは違って眼の部分が黒目以外もすべてくりぬいていたり、綿・毛を植えた豊かな眉であったり、面の口から下を切り離し紐で結んであったりします。
尉面は翁と同じく老人を表しますが、こちらは神のような老人を演じる際によく使用されます。
女面はそれひとつだけで喜怒哀楽の勘定のすべてを表すことができます。
男面は男性を表しますが、「現在能」では青年団製薬は能面を用いません。
そのため成人男性の面は古人を表すものが多いです。
鬼神面は邪悪なものを追い払う、力の強い鬼を表します。
このように能面はいくつかの種類に分かれて細分化しています。
そしてそのひとつひとつに意味があります。
面打ち・長澤氏春
大正元年12月21日、京都市等持院北町で生を受けました。
家は代々京都御所に出入りする、名字帯刀を許可された由緒正しい植木職だったようです。
しかし長澤氏春さんの父の代で、本業以外に様々な事業に手を出し、次々失敗して没落してしまいます。
そして父の遠い親戚にあたる、面打師・橘清伍のもとへ行くことになりました。
この橘氏は当時の京都で唯一の本職の面打師だったのです。
生まれつき手先の器用だった長澤氏春さんは、師匠の技術をみるみる吸収し、わずか1年ほどで独立します。
戦争も経験し、面が売れないので仏師等色々しましたが、40歳の頃に面打ちに専念するようになりました。
その後67歳のとき、面打師として初めての無形文化財選定保存技術保持者に認定されることになります。
14歳で面の世界に入って74年間、様々な出来事がありましたが、その時々に素晴らしい古面と出会い、影響されてきたようです。
転落人生から這い上がった長澤氏春さんは、面を打つことが楽しいと語りました。
「楽しむ」ことが何かを成すのに一番必要なことなのかもしれませんね。
今回はここまでですが、皆さんも自分の中の「楽しい」という気持ちを大切にしていただければと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。